手に職ガイド

AIに代わられない仕事へ。国家資格で、現場のプロとして稼ぐ。

コラム|AIに代わられない仕事へ

AIに奪われにくいのは、法律が「人」を求める仕事

Photo: Mario Spencer on Unsplash

公開:2026年10月16日 / データの確認日:2026年10月16日 / 文:手に職ガイド編集部

結論

「AIに奪われない仕事」を探すときに見るべきなのは、「AIにできるかどうか」より、「法律が、資格を持つ人を置くよう求めているかどうか」です。

電気工事や危険物の取り扱い、ボイラー、消防設備などは、資格を持つ人が作業する・立ち会う・責任者として選ばれることが法律で決まっています。しかも現場は人手不足が続いています。

ただし、作業そのものは機械化が進む部分もあります。目指すなら「資格を持って、現場を任される人」です。

理由① 法律で「資格を持つ人」しかできない業務がある

次の7つの資格は、法律が「この業務には資格を持つ人が必要」と定めています。AIの性能が上がっても、この決まりがある限り、現場には資格を持つ人が必要です。

条文の要旨は当サイトによる要約です。法律は改正されることがあるので、最新の条文はリンク先(e-Gov法令検索)で確認してください。

理由② 現場は人が足りない

有効求人倍率仕事を探している人1人に対して、求人がいくつあるかを表す数字です。用語集で詳しくは、仕事を探している人1人に対して求人がいくつあるかを表します。建設や電気工事の仕事は、すべての職業の平均を大きく上回っています。

職業別の有効求人倍率(2026年8月)

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表。常用(パートを含む)、季節調整をしていない値。

担い手の高齢化も進んでいます。国土交通省の資料では、建設業で働く人は477万人(2024年平均)で、ピークの1997年から約3割減りました。 年齢構成は55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%。現場で働く技能者の約4分の1(25.8%)が60歳以上で、10年後にはその大半が引退する見込みとされています。

出典:国土交通省 九州地方整備局「建設業を巡る最近の状況について」(令和8年2月)

正直に言うと:現場の仕事もAIや機械化で変わる

野村総合研究所の2015年の研究は、日本の労働人口の約49%が「技術的には」人工知能やロボットで代替できると推計しました。 その「代替できる可能性が高い職業」には、建設作業員・ボイラーオペレーター・ビル施設管理技術者なども含まれています。 同じ研究は、実際に代替されるかどうかは人手の需給など社会の状況にも左右される、とも注記しています。

国土交通省も「i-Construction 2.0」で、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進める目標を掲げています。人が減っても現場を回せるように、機械やデータで作業を減らしていく方向です。

つまり、決まった作業をこなすだけの役割は、機械に置き換わる部分が出てきます。一方で法律が求めているのは、資格を持ち、作業や安全に責任を負う人です。資格を取るなら、実務経験を積んで「任される側」に回ることまで考えておくのが現実的です。

海外では:アメリカで現場の仕事が見直されている

アメリカでは、建設業の平均時給が41.69ドル(2026年9月、速報値)で、1年前の40.01ドルから約4.2%上がりました。 全産業の平均は3.0%の上昇なので、建設業のほうが速く伸びています(米国労働統計局。4.2%は公表値からの当サイトの計算)。

ただし、職種別の賃金指数で比べると、建設などの職種は3.9%、管理・専門職は3.3%(2026年6月までの1年間)で、差は大きくありません。 「現場の仕事が圧倒的に稼げるようになった」とまでは言えないのが、統計の正直なところです。

背景として、AIのデータセンター建設が注目されています。半導体大手NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは2026年1月、AIへの投資によって配管工・電気工事士・建設や鉄鋼の作業員が必要になり、大学で情報科学を学んでいなくても良い暮らしができる、という趣旨の発言をしたと報じられています(Fortune)。 データセンターの建設が進むほど同社は得をする立場にある点は、割り引いて受け取る必要があります。

日本でも、同じ方向の動きは数字に出ています。国が公共工事の見積もりに使う職人の賃金の基準「公共工事設計労務単価」は、2026年3月から前年度比4.5%引き上げられ、14年連続の上昇になりました(全国全職種の加重平均は2万5,834円で、初めて2万5,000円を超えました)。 実際の給与を調べた統計でも、建設業の平均賃金は2025年に前年比3.9%上がり、製造業(3.6%)を上回りました。ただし前年(2024年)の伸びは0.9%で、毎年大きく上がっているわけではありません。

日本がアメリカと同じ道をたどるかは分かりません。それでも、現場の人手不足と、現場の仕事の賃金の上昇は、日米で同じ方向に動いています。

出典:米国労働統計局(Employment Situation 表B-3、Employment Cost Index 表9)、Fortune(2026年1月)、国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」。労務単価は公共工事の積算に使う基準で、個々の人の給与そのものではありません。

年収の目安も、公的なデータで

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の、その資格を活かす職業で働く人全体の平均(全国・男女計)。資格を持つ人だけの年収ではありません。年代別・都県別と統計の区分は各資格ページに載せています。

どの資格から始めるか

現場の経験がない人

受験資格に実務経験が要らない資格から1つ取り、その資格を応募条件にしている仕事で経験を積むのが近道です。危険物乙4や第二種電気工事士は年に何度も受験できます。

「未経験OK」の資格を比較表で見る

期間工で稼ぎながら受験する道

すでに工場・建設・設備の仕事をしている人

今の仕事の実務経験が、そのまま受験資格や評価になる資格を優先します。施工管理技士の第二次検定や衛生管理者は、実務経験がある人ほど有利です。

施工管理技士の試験日/衛生管理者の試験日

よくある質問

Q. 40代・50代からでも、現場の国家資格は取れますか?
このページで紹介した7つの資格の受験資格に、年齢の上限はありません。未経験で受けられる資格(危険物乙4・第二種電気工事士・二級ボイラー技士・消防設備士の乙種・登録販売者、施工管理技士の2級第一次検定)から始められます。衛生管理者と施工管理技士の第二次検定は実務経験が必要です。
Q. 資格を取れば、すぐに収入は上がりますか?
限りません。多くの現場資格は、実務経験と組み合わさって給料や任される仕事が変わります。資格ごとの「稼ぎ方」と年収の目安は、比較表で確認できます。
Q. AIに代替されやすいのは、どんな仕事ですか?
野村総合研究所の2015年の研究では、特別な知識やスキルが要らない仕事や、データの分析・決まった手順の操作が中心の仕事は、技術的には代替できる可能性が高いとされています。ただし同じ研究は、実際に代替されるかどうかは人手の需給など社会の状況にも左右されると注記しています。
Q. 女性でも受験できますか?
国家資格の受験に性別の条件はありません。ドラッグストア・工場・ビル管理など、働く場所から選べる資格をまとめたページもあります。 女性が手に職をつけられる国家資格

出典(確認日:2026年10月16日)